認知症の終末期と関わり方
広域紋別病院HP認知症疾患医療センターのコラムにアクセスしていただきありがとうございます。広域紋別病院YouTube公式チャンネルでは、「病院紹介動画」「いつでも公開講座」を公開しています。ご視聴・チャンネル登録いただければうれしいです。尚、近年AI技術の進歩により、医学分野でも標準的な情報を容易に、かなり適切に検索できるようになりました。本コラムは令和7年度、今回をもって終了とさせていただき、「いつでも公開講座」による情報発信に注力させていただきたいと思います。ご理解・ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
認知症も終末期になると、様々な失認・失行が現れます。箸を使えず、手で食べるようになります。椅子を見ても、座れません。衣服を着たり脱いだりできなくなります。異食(食べられないものを食べようとする)や弄便(排泄物をもてあそぶ)も見られます。口の中に溜め込み、いつまでも飲み込もうとしなかったり、飲食自体を拒否したりします。さらに進むと咀嚼・嚥下(モグモグ・ゴックン)ができなくなります。
認知症の終末期ケアで重要な点は『本人にとって不安や苦痛を取り除くこと』『遺される周りの人たちが前向きに生きられること』に集約されます。薬物療法を併用し、穏やかに最期まで療養生活を送れるよう、基盤を作ります。遺される周りの人たちには、勇気付ける助言や解釈を提示します。在宅生活が絶対的に正しいわけではないと思います。そこにこだわるあまり、最期までの時間が苦しいだけの思い出になってしまっては、本末転倒です。在宅生活が可能となるためには条件があります。
終末期の方向性を決める上で、早い段階から取り組んでいただきたいプロセスがあります。それが人生会議(アドバンス・ケア・プランニング、advance care planning: ACP)で、将来の医療やケアについて患者・家族・医療・ケアチームが話し合い、患者の意思決定を支援するプロセスです。人生会議の目的は、意志表示ができなくなった場合に備えて、将来の医療に関する希望や選択を明確にすることです。人生会議を行うことで次のようなメリットがあります。
1) 本人の価値観や希望に沿った医療・ケアが行われる。
2) 緊急時や終末期ケアに関する希望や意思決定を知らせることで、周りの家族や大切な人々を安心させ、ストレスを最小限に抑えることができる。
3) 家族間で起こり得るもめ事を減らすことができる。
人生会議は米国で「自己決定権の尊重」という考え方や医療費の高騰を背景に制度化されました。患者が生前意思や蘇生処置拒否の意思決定をしていたにも関わらず、家族や代理人が意思決定を行えないなどの事例が相次ぎ、現実との間に齟齬が生まれたことが背景にあります。人生会議は健常者、慢性疾患の治療期、悪性疾患の終末期など、患者の状況や場面によって様々な進め方がありますが、あくまでも話し合いの中で進められるのがポイントです。
これまで認知症コラムをご愛顧いただきどうもありがとうございました。
- 4月:ビル・パーキンス著「DIE WITH ZERO」を読んで (PDF:61.1KB)
- 5月:意思決定支援 (PDF:73.1KB)
- 6月:忘れる以前に覚えていない? (PDF:61.4KB)
- 7月:健康寿命・平均寿命と認知症 (PDF:77.3KB)
- 8月:うつと認知症 (PDF:179KB)
- 9月:高齢ドライバー① (PDF:214KB)
- 10月:高齢ドライバー② (PDF:204KB)
- 11月:いつでも公開講座 (PDF:175KB)
- 12月:初診の大まかな流れ (PDF:252KB)
- 1月:脳の外見(形態)と中身(機能) (PDF:278KB)
- 2月:認知低下とせん妄 (PDF:245KB)