認知症の薬物療法(症状管理)
あけましておめでとうございます。今年も数あるコラムの中からあえてアクセスして頂きありがとうございます。今年も頑張って、表面をなぞるようなどうでもいい内容ではなく、本質に深く切り込んだ、ともすれば話しにくい内容について、積極的に発信していこうと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。Punk is attitude. Not style.
度々コラムでも触れていますが、現代医療では認知症の根治はできません。健常者および認知症の生体から、神経細胞の採取が倫理的に許容される見込みはなく、自分の世代でも子の世代でも孫の世代でも、根治は実現しないと予測します。だからといって、現代医療が認知症に対して何もできないわけではありません。対症療法により症状を緩和し、それぞれが希望する生活をなるべく長く続けられるよう、認知症を持つ本人・周りで支える援助者・援助職全般それぞれが日々奮闘しています。
認知症の対症療法には、①記憶(覚える)・想起(思い出す)・覚醒度(スッキリ度)の改善、②睡眠の最適化、③突発的な興奮・攻撃性の緩和、④介護抵抗の緩和、⑤併存する抑うつの緩和、⑥不安焦燥・困惑の緩和、⑦幻覚・被害妄想の緩和、⑧無気力の底上げ、などが挙げられます。全てを管理しようとすると、投薬量も副作用もtoo muchとなってしまいます。その人が望む、その人らしい生活を維持するために、どの症状から介入すべきか、身体的にはどれくらいの投薬量に耐え得るか、経験を駆使してイメージします。どこの歯車(障害)を修理(改善)することで全体(生活)がうまく回っていくか、というイメージです。現代医療にも限界はありますが、それぞれの要望にできるだけ応えられるよう、精一杯の検討を加えさせて頂きます。令和6年度 認知症コラムバックナンバー
- 4月 : 認知症の進行 (PDF:141KB)
- 5月 : 認知症の終末期と関わり方 (PDF:185KB)
- 6月 : 認知症の行動・心理症状(BPSD) (PDF:162KB)
- 7月 :認知症で日常的に把握しておきたい身体のコンディション (PDF:160KB)
- 8月:『精神病の認知症化』と『精神病を併存する認知症』 (PDF:154KB)
- 9月:医療機関との上手な付き合い方 (PDF:173KB)
- 10月:健康寿命をどう延ばすか (PDF:154KB)
- 11月:チーム医療と臓器別医療 (PDF:170KB)
- 12月:人生会議(アドバンス・ケア・プランニング、advance care planning: ACP)の勧め (PDF:192KB)