認知症コラム
6月:パーキンソニズムをめぐるやりとり
医師> 元気にしていましたか?この3ヶ月は転びませんでしたか?
患者> 朝、足がもつれるようになりました。頭をぶつけないように、膝をついてよくすりむきます。
医師> 一歩目がなかなか出てこない?(すくみ足の確認)
患者> そうですね。
医師> まだ一人暮らし、頑張れそう?
患者> 考えたことないですけど。まだ大丈夫だろうと思います。
医師> 頭をぶつけないことも大事だけど、膝をついて骨折しないか心配ですね。骨粗鬆症の治療は受けていないんでしょ?
患者> 受けてないです。
医師> 良い薬がたくさん出ているから、治療を受けて欲しい気持ちもヤマヤマだけど。病院に通うのも大変ですものね。
患者> はい。
医師> せめて転ばないように、動きを良くする薬を追加しましょうか?(すくみ足の治療の提案)
患者> 今だって大丈夫なわけではないけど、できれば薬は増やしたくない。幻覚が起きても困るし。(薬剤性幻視への不安)
医師> その気持ちもわかるけど、一番避けるべきは骨折なんですよね。コロナ禍の入院は、見舞いもできず寂しいですよ。
患者> 動き始めというより方向転換がね。落ち着いてやれば良いんですけど。
医師> それもいくらか良くなるとは思いますよ。若い頃のようにテキパキ動けるようにはならないけど。(すくみ足の治療をもう一押し)
患者> もう少し様子を見てみます。
医師> わかりました。また相談しましょう。