認知症コラム

認知症で日常的に把握しておきたい身体のコンディション

程度の差はあるにせよ、誰でも好不調の波を経験したことはあると思います。また、認知症だけの問題ではありませんが、加齢とともに内臓機能は衰え、調節機能(恒常性=ホメオスターシス維持機能)も衰え、変化に対して弱くなります。昨今の温暖化や寒暖差に参っている人はたくさんいるでしょう。身体のコンディションが崩れると、精神のコンディションも崩れやすくなります。古典的にせん妄(令和5年7月認知症コラム参照)は準備因子・直接因子・誘発因子に分けて考えられます。準備因子は高齢・認知症・脳疾患など、直接因子は急病・手術・薬剤などで、自分たちだけで解決することは困難です。誘発因子には不眠・環境変化・痛み・心理的ストレスのほか、種々の身体のコンディションも含まれます。身体のコンディションの悪化を予防すること、早期発見することは、せん妄による生活障害を最小限に抑える上でかなり重要です。常日頃から①脱水がないか、②便秘がないか、③貧血がないか、④感染・床ずれがないか、について気を付けるようにしましょう。脱水になると脈が速くなり微熱が出ます。感染・床ずれでも同じような変化が起こります。貧血については通常の血液検査でわかります。生活習慣として体温・脈拍・便秘に注意することで、健康維持や病状悪化の早期発見に大いにつながると思います。

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